シミュレーションという手も使ってみましょうか
自動車修理工場の話で「シミューレーション」の応用をおはなししました。この問題も同じ手法を使って試してみることができます。60日分のデータをながめてみると、分布の形が釣り鐘型の「正規分布」で近似できそうです。平均値=16.4、標準偏差=2.8の正規分布を当てはめてみたのが下のグラフです。このような場合、われわれは「よく合っているから、需要は正規分布にしたがう」と考えて問題を考えることにするのです。このように理論的な分布を仮定することができるといろいろ便利な数学的な方法が使えるようになります。これを合っているとみるか否かの結論を理論的に計るには、統計的検定を行うことが必要です。ここでは「よく合っている」としておきます。

もちろん、修理工場の話のように生データの分布を使いカード式ランダム・メカニズムを作ったっていいのです。ここでは、そんな道具立てをしないでも簡単にシミュレーションが出来ることをおぼえてください。

「うちのXX商品の需要は正規分布にしたがう」なんてしゃべれると、一人前になったような気がしてくるかもしれませんね。

さて、毎日の需要が平均値=16.4、標準偏差=2.8の正規分布にしがうということがわかると、需要発生のランダム・メカニズムはExcelの上でも簡単に作ることができます。

区間[0,1)の乱数発生用の関数RAND()を12個足して6を引いておきます。すると、この値は平均=0,標準偏差=1の正規分布に近似的にしたがいます。これを標準正規分布とよびN[0,1)と書くことにします。

平均=μ,標準偏差=σの正規分布にしたがう乱数Rを作るには、

R=μ+σ・N[0,1)

とすれば、正規乱数を作り出すことができます。

このようにして100個のサンプルを計算した結果の例です。こういう数値の列を生成された乱数列と呼びます。(実際は小数以下も出てくる実数値ですが、ここでは四捨五入して整数に丸めてあります)


INDEX     PREVIOUS NEXT