ORとはなんだ?

4.困っている飛行機の乗客

昔のことですが、日本で飛行機が連続して墜落したことがありました。全日本空輸のボーイング727が羽田の滑走路を目前にして墜落して、すぐにBOAC機が富士山上空で空中分解しました。本当は富士山の近くは気流が悪いので、日本の旅客機は近寄らないのですが、イギリスのパイロットは客にサービスのつもりで飛んだのでしょう。

さて、人間の直感はこんなもの、という例があります。いま、4発の飛行機と双発の飛行機があります。たまたまエンジンはすべて同じものです。

4発機も双発機も、そのエンジンの半数が動いていれば墜落しないで飛べるのだそうです。みなさんは、どちらの飛行機を選んで乗るでしょうか。あまのじゃくを除いて、みな当たり前のように4発機に乗ると答えます。それは、いままでの経験から来る直感がそう言わせるのでしょう。

「じゃあ、なぜ?」と聞くと、黙ってしまうか、「エンジンがたくさんあるほうが安全だ」というわけです。「それならエンジンが100個ついていればそれがいいか?」

ここで大事なのはエンジンの信頼度であります。信頼度とは「一定の時間それが故障しないで稼動する確率」のことをいいます。信頼度の高いピッチャーというのは、投げる試合で打ち込まれて負けてしまう確率が小さいピッチャーなのです。確率という言葉は天気予報にも登場しておなじみになっていますが、確率論という数学は面白いけど難しいことがたくさん出てきます。

本題に戻って、すべてのエンジンは同じ信頼度Pであるとします。「Pは0から1の間の値をとる」ということはよろしいですね。この仮定をもとにこの問題を考えることにしましょう。


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