ORとはなんだ?

2.困っている牛乳工場の課長

OR屋と呼ばれる人は、何でも困った問題があると「よし、おれが解決してやろう」、それも出来るだけスマートな方法で、しかも理屈に合った方法でやってのけようとする人種が多いようです。

20年ほど前わたしがまだ若かりし頃、品質管理の大本山で有名な(財)日本科学技術連盟というところで企業の実務家に「ORの教育」をやっていました。さる有名な乳業会社の生産管理担当の課長が勉強に来ていました。紙パック詰めの牛乳工場が新しく出来てまだ日が浅く、課長は何だか一人で困っていました。

「何だ、何だ」と話を聞きました。

 これはその乳業のある工場での問題です。ここは牛乳を紙パックに詰める工程の工場でなのです。以下は上の絵をながめながらご覧ください。

製造品種 : 9種類
製造ライン : 7ライン
        製造能力 7,200箱/時 (ライン1〜6)
             10,200箱/時 (ライン7)
  同時に製造できる品種の数 : 5品種まで
  1品種に関して同時に製造できるラインの数 : 3ライン
  ライン上の品種切替え時間(洗浄時間) : 30分/回
一日の製造数量は毎日変わり、各品種ごとにあらかじめ定められた数量を午前6時までに製造が終了していなければならない。
  また、作業員の労働時間が公平になるように、各ラインのすべての作業が終了する時刻ができるだけ同じ時刻に近くなるようにしたい。

 上記のような条件を満たす各ラインでの製造計画(スケジュール)を作成する方法を考えることが問題となりました。みなさん、どうやって計画を立てますか。いろいろな条件が課せられていて困ってしまいませんか。

 具体的に、ある日の製造要求は次のようなものでした。パック詰め工程は夜中の0時に始まり、大体は翌日の昼頃には終わっているということです。一番右の欄の数字は朝6時までに出来上がっていなければならない数量です。

品種 製造数量(箱) 朝6時まで(内数)
106,200 41,400
28,800  
45,000 21,600
57,600 30,600
55,800 27,000
045,000 21,600
061,200 36,000
7,200  
122,400 54,000

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